コラム・オピニオン

コラム2:子どもを持つ女性が働くということ


2015年9月

子どもを持ちながら働き続けるということを阻害する要因について、平成14年に埼玉県男女共同参画センターで実施した共同研究に関与しましたが、意外にも就労疎外の心理的要因の第1位は、「夫や夫の親の反対」という結果でした。父親だけの収入では家計が回らず、母親も働かなければいけない社会になりつつある現代では、子どもを保育園に預けるということは一般的になってきましたが、祖父母世代にはまだ「保育園なんて孫がかわいそう」という意識を持つ方が少なくありません。

特に母親が働かなくても経済的に生活できる家庭では、母親の就労には否定的な意見も少なくありません。そのようなときに周囲から投げかけられる言葉は「あなたの仕事は子どもを預けてまでするような仕事なの?」という言葉です。女性自身もそのような言葉を投げかけられると、言葉に詰まってしまい、「そうよね」と納得してしまうこともあるでしょう。特に幼い子どもを預けても働きたいという女性の気持ちは理解されにくいものです。他方、男性であれば幼い子どもの父親だからということで仕事の価値を問われることは、ほとんどないでしょう。ここにも性別役割分担意識が根づいています。

子どもを持つ女性が働くということは、周囲のそのような意識と戦わなければなりません。昨今の「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の制定に見られるように、女性が活躍することが期待されていますが、子どもを持つ女性は、働くことについて、短期的な視点ではなく長期的にどうなりたいのかを考え、子どもを預けて働く価値のある仕事であると自信が持って言えるような仕事をすることが特に求められます。特に日本の女性は自信がないと言われますので、自信を持つことを意識することも、必要ではないでしょうか。



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