コラム・オピニオン

コラム3:女性自身の決断も必要


2015年9月

女性活躍推進法が制定され、いよいよ女性活用、女性活躍が本格化するとみられています。人口減少がますます加速する日本の中で、貴重な労働力として女性の能力に政府も期待しています。新聞やテレビなどでも、海外や日本で活躍している女性の特集を見かけることが本当に多くなってきました。しかし、それに対し「私にはこのような働き方は無理」や「この人のような活躍なんてできない」などと感じている女性は多いのではないでしょうか。中には「女性活躍なんて言っているけど、要するに女性は結婚も出産も仕事も、全部頑張ってやりなさいということでしょう」といった声も、少なくはありません。いくら「女性活躍」と言われても、女性一人が仕事と家庭での役割を一手に引き受けることは、非常に困難です。

今、仕事に就いていない女性は、働きたいという希望は持ちつつも、「一旦仕事に出てしまったら、家庭との両立ができるのだろうか」といった不安を抱えているのではないでしょうか。横浜市の調査では、就業していない主婦の約9割が「仕事がしたい」と思いながらも「家事・育児・介護との両立に自信がない(49.4%)」や「夫やパートナーとの役割分担が難しい(22.7%)」という理由から、仕事を探していないという結果が出ています。しかし、今は働けなくても「いずれは仕事に就きたい(51.6%)」、「現在抱えている不安や問題が解決されれば、仕事に就きたい(31.1%)」と感じているなど、就業に対する意欲は高いのです。彼女たちの「活躍」を実現させるためにも、政府が唱えている女性に対する就業支援制度の充実が、非常に重要な鍵になることには間違いありません。

しかし、制度が充実することも良いことですが、それを待っているだけでは、いつまでたっても働くことができません。ここは、女性自身が思い切って決断し、自分の希望に少しでも近づくために一歩踏み出してみることも必要なのではないでしょうか。先ほどの横浜市の調査では、再就職に成功した人に対して、その理由をたずねています。それによると「希望する働き方と、求人側のニーズをすりあわせ、働き方や仕事内容などについて自分の考え方を広げた(46.1%)」「家族の理解、家事・育児・介護等の分担が得られるようになった(40.2%)」といった回答がみられます。自分に合った条件が見つかることや、家族の中での役割分担の変更は、なにもせず待っていても実現しません。まずは自分の希望やできることについて棚卸しを行いつつ、家族の協力が得られるよう働きかけをし、自分が働ける環境を自分自身で作っていくことが大切です。

テレビや新聞で紹介されている「活躍している女性」というのは、多くの人にとっては確かに遠い存在に映るでしょう。しかし、活躍している女性は身近にもたくさんいます。そのような人を見つけて、働き方の参考にすることも良いのではないでしょうか。


<参考資料>

  女性の就業ニーズ調査(平成26年度 横浜市政策局男女共同参画推進課)



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