コラム・オピニオン

コラム4:男性の持つ性別役割分担意識


2016年6月

男女共同参画社会の実現は、女性にとっても男性にとっても生きやすい社会を作ることであり、性別により役割を固定的に考える「固定的性別役割分担意識」の解消が目指されています。平成23年度に内閣府で実施された「男性にとっての男女共同参画に関する意識調査」(弊社委託)では、男性の固定的な性別役割分担意識についての調査が行われました。

その結果、例えば「家事は主に妻にしてほしい」という意見には約半数が賛成し、「妻や恋人にはできれば自分の意見に従ってもらいたい」 という意見には、約4割の男性が賛成しています。また、その意見は、男性の収入によって異なり、収入が高いほど賛成の比率が高くなるという明らかな傾向が示されました。さらに、「家族のために、仕事は継続しなければいけない」という意見には、男性の約8割が賛成していました。他方、「他人に弱音を吐くことがある」という意見には約3割しか賛成しておらず、「悩みがあったら気軽に誰かに相談するほうである」という意見に賛成した男性は、2割にも満たないという結果でした。

男性は、収入が高くなるほど性別役割分担意識が強くなるという傾向は当然かもしれませんが、例えば夫婦の間において性別役割分担意識が強く、それが固定的になってしまうと、それを変えることはとても困難です。また最近ではリストラや転職等により、男性の収入が極端に減少してしまうことも珍しいことではありませんが、このような固定的性別役割分担意識が根付いていることにより、その状況を受け入れられず、思い悩んでしまう男性は少なくないはずです。また定年退職等、仕事を失ったときのショックは顕著ですが、そのような状況になっても弱音を吐くことをせず、他人に相談しない男性が多いことは、苦しい状況を一人で抱えてしまうことにもつながります。

男性が稼ぎ手の役割であり、女性が家庭の役割というような固定的な性別役割分担意識を持つことや、男性はつらくても相談したり弱音を吐いたりしてはいけないという意識を持つことなく、柔軟な意識を持ちながら、男性も女性も、ともに状況に応じて役割を柔軟に変えていけることが理想ではないでしょうか。


<参考資料>

  男性にとっての男女共同参画に関する意識調査報告書(平成23年度 内閣府)



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