大切な人を亡くすという体験によってもたらされる感情を「悲嘆」と呼びます。特に、事件や交通事故などにより、突然大切な人と死に別れた体験を持つ人には、さまざまな悲嘆反応が現れます。例えば、「今ある現実が本当のことではないように感じる」、「いろいろなことに怒りや憤りを感じる」、「何の感情も湧いてこない」、「絶望する」、「自分を責める」といったものです。これらの感情は、死別による悲嘆から来る当たり前の反応であると考えられています。
このような悲嘆の感情が長く続き、日常生活に支障が出る状態になった場合には、心理的なケア、いわゆる「こころのケア」が必要です。
こころのケアにおいて悲嘆をかかえた方が回復に向かうためのなポイントが、いくつかあります。
① 現実をきちんと受け止める
② 死別に伴う苦痛を少しずつ消化していく
③ 大切な人がいない世界に適応していく
④ 過去の故人とのつながりとは違う形で、故人とのつながりを見出し、歩んでいく
現実を受け止め、それに適応するプロセスには、時間が必要です。ある時は悲しみに暮れたり、またある時は現実を受け止めつつ前へ進んでいこうと考えたり、そのようなことを繰り返しながら、少しずつ気持ちを整理し、新しい生活を始めていく。そうすることで、人は回復していくと考えられています。回復のプロセスのためには、そういったこころのケアが重要なのです。
<参考資料>
下記に内閣府において作成されました動画及びパンフレットを紹介します。
(1)悲嘆反応やこころのケアについて(動画)
悲嘆反応やこころのケアについて、内閣府「交通事故被害者サポート事業」のウェブサイトにご講演の動画が掲載されています。ぜひご覧ください。
(2)ご家族を亡くされた方のこころのケアについてのパンフレット
内閣府作成の「交通事故交通事故によってご家族を亡くされた方へ(平成18年度作成)」パンフレットです。交通事故が原因でない方(事件や病死等)であっても参考になりますので、ぜひご覧ください。
「交通事故交通事故によってご家族を亡くされた方へ(平成18年度 内閣府作成)」(HTML版)
「交通事故交通事故によってご家族を亡くされた方へ(平成18年度 内閣府作成)」(PDF版)