コラム・オピニオン

コラム2:子どもの発達と死の認知


2015年9月

日本の社会には、どちらかというと「死」をタブー視したり、そのことについて普段あまり話したりしないといった風潮があります。大切な誰かが亡くなったとき、おそらくほとんどの人は葬儀などに追われて、目の前にいる子どもが死についてどのように捉えているのかを考えたことは少ないのではないでしょうか。子どもが誰かの死に直面したとき、それに対する見かたは大人とは大きく異なります。ここでは、子どもの死の認知が、年齢ごとにどのように変化していくかについて考えていきたいと思います。

1~2歳
一般的に、1~2歳までの小さな子どもにとって、死を理解することは難しいと考えられています。この時期の子どもは、もし大切な人が亡くなってしまったとしても、その人の代わりに世話をしてくれる人がいれば、生き延びることができます。ただし、愛着行動が育っていく大切な時期ですので、代わりに甘えられる、愛情を注いでくれる人の存在が重要となります。

3~4歳
3~4歳になると、死についてなんとなく理解はしますが、「また生き返るのではないか」とか「眠っているだけなのではないか」などと考える傾向にあるようです。周囲にいる人が説明しても、なかなか理解できない状態にあるようです。

5~6歳
幼稚園や保育園に通う年齢になると、死について自己中心的な考え方をするようになります。例えば親が亡くなった場合「自分が悪い子だから死んでしまったのだ」とか、「故人に会えないのは、自分が悪いことをしてしまった罰だ」と捉える傾向にあるようです。まだ言葉にして表現することが難しい年齢ですが、心の中ではそのように考えていると言えるでしょう。

小学生以降
小学校の低学年になると、「死んだらもう戻ってこない」といった不可逆性についてある程度理解できるようになりますが、まだ完全とは言えないと考えられています。高学年になると、大人とほぼ同じレベルで死を捉え、死は全ての人に訪れるものと理解することができるようになります。

このように、子どもの死の認知については、その年齢によって異なることが、明らかになっています。子どもが大切な誰かを亡くした時は、周囲の大人はその子どもの年齢に合った対応を行うことが求められています。


<参考資料>

子どもの発達と死の認知については、内閣府「交通事故被害者サポート事業」ウェブサイト掲載の平成25年事業報告書(第1章p9~16 武蔵野女子大学教授 藤森和美氏のご講演要旨)に詳しく記載されています。ぜひご覧ください。

  武蔵野女子大学教授 藤森和美氏によるご講演要旨「子どもと死-その理解と支援-」
(平成25年度 内閣府「交通事故被害者サポート事業」事業報告書 第1章p9~16)(PDF)



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