コラム・オピニオン

コラム3:家族を亡くした子どもの反応


2015年9月

大切な人を亡くすということは、誰にとっても大きな悲しみです。以前のコラムにおいて、子どもはその年齢ごとに死の捉え方が異なるということについて触れましたが、死別を経験した子どもの気持ちがどういうものかについても、最近注目され始めています。ここでは、家族を亡くした子どもに、どのような気持ちが起こりやすいのかについて、紹介したいと思います。

「家族が亡くなったのは自分のせい」という気持ち
死亡の原因が自分にはないとはわかっていても、子どもは自責感や罪悪感を持つ傾向にあるようです。例えば、「あの時自分が止めていたら」、「あの時自分がケンカしたから」死んでしまったのだと考え、「なぜ自分は生きているのだろう」「自分が死ねばよかったのだ」とさえ思ってしまうことが、よくあります。

「また誰か死ぬのではないか」という気持ち
家族が亡くなったショックから、他の家族の誰かがまた死んでしまうのではないかと考え、不安を感じる子どももいます。

「自分が頑張らなければ」という気持ち
特に親を亡くした場合などは、遺された親を「自分がしっかりして守らなければ」などと考え、意気込む子どもは多いようです。年下のきょうだいがいる子どもも同様です。また、周囲に心配をかけたくないと、自分にプレッシャーをかける子どももいます。

家族に対する怒り
例えばきょうだいを亡くした場合など、両親が亡くなった子どものことで頭がいっぱいになるあまり、自分のことを以前のように気にかけてくれなくなったと感じ、怒りを感じることもあります。中には親の注意を惹きたいために、問題行動を起こしたり反抗的な態度を見せる子どももいるようです。

「そっとしておいて欲しい」という気持ち
学校や地域など周囲の人が、家族が亡くなったことについて話していたりすると、子どもは「そっとしておいて欲しい」という気持ちが大きくなる傾向にあります。

これらは、子どもなどで突然家族が亡くなってしまった経験を持つ子どもによくみられる反応ですが、決して異常なことではなく、自然な反応です。家族が亡くなった場合には、遺された親も取り乱していることが多く、子どものことにまで目が行かなくなることも多いものです。周囲にいる大人は、このような子どもの反応について知っておき、いざというときには遺された親子を支えることが重要です。


<参考資料>

下記に内閣府において作成されました動画及びパンフレットを紹介します。

(1)家族を亡くした子どもの理解とケアについて(動画)

家族を亡くした子どもに起きやすい反応とそのケアについて、内閣府「交通事故被害者サポート事業」のウェブサイトにご講演の動画が掲載されています。ぜひご覧ください。

 福岡市こども総合相談センター所長 藤林武史氏によるご講演映像「家族を亡くした子供の理解とケア」
(平成27年度 内閣府主催「交通事故で家族を亡くした子供の支援」に関するシンポジウム 基調講演)


(2)家族を亡くした子どもの支援についてのパンフレット

ここでご紹介した内容は、ほんの一部です。詳しくは内閣府「交通事故被害者サポート事業」ウェブサイト掲載のパンフレット「交通事故で家族を亡くした子どもの支援のために(平成23年度作成)」をご参照ください。パンフレットのダウンロードも可能です。

  「交通事故で家族を亡くした子どもの支援のために(平成23年度 内閣府作成)」(PDF)



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