コラム・オピニオン

コラム4:家族を亡くして悲しんでいる子どもが「つらい」と感じるとき


2015年10月

事故・事件などで家族を亡くした子どもの気持ちの変化について、別のコラムで触れましたが、今の日本の社会では、子どものそのような気持ちについて、一般の方にはあまり知られていません。知らないが故に、周囲の人が誤った声掛けをしてしまい、子どものこころに傷が残る、いわゆる「二次被害」を与えてしまったということもよく聞かれます。周囲にいる大人たちが、死別を体験した子どもの気持ちに関する知識を深め、適切に対応することが求められています。

ここでは、交通事故の被害者や遺族の方々を支援する事業の中で、子どもが「言われてつらかった」と感じた周囲の声かけについて、紹介したいと思います。どの言葉も、子どもを励ますために発せられたり、なにげなく聞いたりするものですが、本人にとっては「嫌だな」と思う傾向にあるようです。

「これからは、お父さん(お母さん、○○ちゃん)の代わりに家族を支えてね」
このような言葉がけは、励ますつもりでよく使われるものですが、言われた子どもは、自分に何ができるのかもわからず、困惑することも少なくありません。あるいは「自分が頑張らねば」と思い、実際の年齢以上の役割を果たそうとする可能性があります。肯定的に捉える子どももいますが、プレッシャーに押しつぶされそうになる子どもも少なくないようです。

「亡くなった家族の分まで頑張ってね」
家族を亡くしたショックから、子どもは無気力になったりするなど気持ちの変化があります。そのような変化に子ども自身が戸惑っていながらも、それでも子どもはなんとか頑張ろうとしています。そのような時に「頑張って」と声掛けされることで、子どもは「これ以上どう頑張ればよいのか」と、つらくなることも少なくありません。「がんばれ」の言葉がけは慎重にしたほうがよいと思われます。


<参考資料>

ここでご紹介した内容は、ほんの一部です。詳しくは内閣府「交通事故被害者サポート事業」ウェブサイト掲載のパンフレット「交通事故で家族を亡くした子どもの支援のために」をご参照ください。パンフレットのダウンロードも可能です。

  「交通事故で家族を亡くした子どもの支援のために」(PDF)


また、パンフレット作成のもとになりました調査は、内閣府「交通事故被害者サポート事業」平成24年事業報告書(第6章p47~117)に詳しく記載されています。子どもの頃に交通事故で家族を亡くした方々からの多くの声が集められています。ぜひご覧ください。

  平成24年度 内閣府「交通事故被害者サポート事業」事業報告書 WEB調査結果 前半(PDF)

  平成24年度 内閣府「交通事故被害者サポート事業」事業報告書 WEB調査結果 後半(PDF)



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